桃色ドクター
第2章~恋の予感~
夜の8時。
帰宅した雅也は、ケーキを買ってきてくれた。
「お見舞いのケーキ!」
な~んて嬉しそうな顔をして、食べ切れないくらいの大きなチョコレートケーキをテーブルに置いた。
病院から帰ってきて、少し歩けるようになった私はリビングでTVを見ていた。
雅也は、病院に行ったのかとか、腰の具合はどうだ、なんてことは何も聞かない。
「飯は?」
雅也ってつくづくおかしな男。
「作れるわけないじゃん!」
もう雅也の目も見たくないくらいに呆れて、TVの画面を見つめたまま言った。
「香織ちゃん、怒ってるの?ごめん!!」
怒るといつも甘えた声を出す。
そのたびに許してきた私の責任。