桃色ドクター
「はぁ……どんな様子でした?」
「思いつめたような……厳しい表情をしていたが。まずかったかな。住所教えてしまって」
大丈夫です、と言い、私は席についた。
その噂は広まっていて、私はいろんな人にどういう関係の人なんだと聞かれた。
男を取り合う仲なんだろう、とか、不倫じゃないのか、とか。
どうしてこの会社がわかったんだろうと思ったが、受付嬢は私健康保険証をいつも見ているわけで……
会社を知っているのは当たり前か。
心配かけたくないから、仁ノ介には黙っていよう。
そう思ったのに、仁ノ介はすでに知っていた。
「どうして知ってるの?」
昼休み、恵理と公園で話しているときに電話がかかってきた。