桃色ドクター
仁ノ介のマンションの前に、予想通り由美子さんがいた。
受付嬢は、ある意味関係ない。
早くも脱落したのかな。
「やっぱりここへ来たのね」
またまたドロドロドラマの始まり。
「今日私の会社に来たんですよね。私の住所を調べてどうするんですか?」
視線を合わせないようにしながら、私はできるだけ強い口調で言った。
「どうしても話したいことがあったから。でも、今日は仁の家へ来るような気がしたの」
仁ノ介のこと、仁って呼ぶのやめてくれないかな。
ものすごく腹が立つんですけど!!
「会ってほしい人がいるの」
いきなり腕を掴まれて、階段の踊り場へ連れて行かれた。
風が強く吹いていて、微妙に階段が揺れていた。