桃色ドクター
第3章~好きになってはいけない人~
その夜、雅也がコンパに出かけた。
私達カップルにとって、それはたいしたことではない。
将来の約束もしていない私と雅也は、自由過ぎる程、自由な関係だった。
そうは言っても、やはりコンパに行かれるのは気分の良いものではなかった。
…今までは。
今日の私は、そんなこと忘れてしまうくらいに…
彼のことばかり考えていた。
魅惑の甘い声の瀬名仁ノ介…
まだ何も知らない。
勝手に頭の中で出来上がってゆく彼。
今頃、綺麗な奥さんと幸せな夜を過ごしているんだろう。
医者はエッチだと聞くが、純粋そうな顔してきっと瀬名先生もエッチなんだ。
だから、あんなセクシーな声を出す。
『私に何を言わせたい?』
その声が耳から離れなくて、私は体が熱くなるのを感じた。