桃色ドクター
こういうのに、弱いんだな…私。
雅也は力持ちで喧嘩も強く、いざと言う時に頼りにはなる。
ただ、「いざ」って時が、雅也自身なかなか気付けずに、タイミングが悪い。
今だって、起きてすぐに私を抱き上げてくれていたら、私の中の「雅也と結婚したい指数」は急上昇していただろうに。
とはいえ、筋肉質なこの腕は好きだ。
だから、離れられないのも事実。
思いやりに欠けた、自己中男だと知りながら、1年も同棲生活をしている。
「会社に連絡しとけよ!」
私に携帯電話を乱暴に投げ渡すと、雅也はとっとと会社へ行ってしまった。
動けない私を置いて会社へ行った彼氏を、もう彼氏と思うことはないだろう。
同居人。
ただの同居人。