桃色ドクター
「どうぞ」
今日は少しだけ真面目な声。
また私に椅子を貸してくれる。
もう痛くないのに・・・
「僕ね~、甘いものに目がないんですよ」
いきなりそんなことを言う瀬名先生に私は動揺した。
部屋には私と先生だけだった。
「何が言いたいんですか?」
また冷たくしてしまった。
私は、綺麗に整った瀬名先生の眉毛を見つめた。
眉毛も綺麗。
「知ってます?バレンタインっていうシステム」
瀬名先生は、目を細くして笑いながら私をベッドへ寝かせた。
口説かれているのかと思ってしまうのは仕方がない。
瀬名先生の方から、バレンタインの話題を振るなんて。
「へ~。そんなシステム私知らないですね」
「じゃあ、教えてあげる。お世話になっている人とか、好意を持っている人に愛を込めてチョコレートを渡すっていう日なんです。それが来週の週末なんですね~」