桃色ドクター
「もう・・・来てくれないんですか」
腰に触れた手が止まる。
やっぱり遊び人なのかも知れない。
奥さん、悲しむよ。
「また来ていいんですか?」
私は少し振り向いた。
腰を回そうとすると、瀬名先生は私の腰を抑えて、それを阻止した。
「そのままの姿勢で聞いてください。実は・・・僕は結婚していない。正確に言えば、まだ・・・結婚していない」
私は先生の手を押しのけて、振り向いた。
そして、瀬名先生の左手を掴んだ。
ない。
指輪がない。