桃色ドクター



「あの日はね、たまたま結婚指輪の貸し出しサービスでつけていただけなんです。仕事柄、指輪が邪魔になるかも知れないと言ったら、指輪屋さんが試しに1日貸してくれたんです。まぁ、指輪を付けることに抵抗はなくなりましたが、あなたに見られてしまった」




瀬名先生はキョロキョロと周りを見回した後、私の耳元に近付いた。




「春に結婚が決まっています。これって、独身とは言えないかな」




何が言いたいんだろう。


誘ってるの?




私は一瞬、期間限定でもいいから春まで瀬名先生と一緒にいたいと思ってしまった。




でもその考えはすぐに消え、現実に戻る。



「はい。瀬名先生は、既婚者と同じです。今の発言は、浮気への第一歩です」






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