桃色ドクター
「瀬名先生、軽いよ。誰にでも優しくしてると、いつか誰からも愛されなくなるよ」
言い終えてから、少し言い過ぎたんじゃないかと反省した。
瀬名先生は、落ち込んだ表情をして、手に持っていたボールペンを私のおでこに近付けた。
「ありがと。そうだね。結婚を控えた男は、恋なんてしちゃいけない」
また期待させるようなことを・・・
私はその言葉に返事はせずに、ありがとうございますと言い、診察室を出た。
ドキドキしていた。
本当は大声で叫びたいくらいにテンションが上がってて、お金も払わずに外に飛び出してしまうくらい嬉しかった。
恋しちゃいけない・・・
瀬名先生が恋をしそうな相手は私?
私に・・・
恋をするかも知れないっていう意味?