桃色ドクター
私は、買ったばかりのピンクの布団の中で、途方にくれた。
季節は冬。
昨日の夜は雪も降っていた。
1月後半の一番寒い季節。
動けないまま、ただ時計を眺めていた。
インテリアにはうるさい雅也の選んだおしゃれな壁掛け時計。
おしゃれ過ぎて、はっきりした時間がわかんない使えない時計。
だいたい7時半頃。
マンションの3階の廊下を走る小学生の声が聞こえた。
その微妙な部屋の揺れでさえ、今の私の腰にはかなりキツイ。
結露した窓の向こうに見える赤いランドセル。
子供が好きだけど、私にはしばらく縁がない。
雅也と別れたら、またしばらく一人でいるんだろう。
だから、別れる勇気がないだけの寂しい女。