桃色ドクター
お会計は全部瀬名先生持ち。
「独身だからいいんだよ」
そんな風に言って、瀬名先生はまた私を期待させる。
「ごちそうさま。本当に楽しかったです・・・」
お別れだと思うと急に胸の奥がキューと締め付けられるように苦しい。
「俺も・・・本当ならこのまま君を連れ去りたい気分」
瀬名先生も、私と同じ気持ちでいてくれているような気がした。
道の脇には小川が流れていた。
数メートル間隔に街灯が並んでいるが、その灯りは薄暗い。
ふと瀬名先生の顔を見ても、はっきりと表情が見えない。
「辛いな」
瀬名先生は、小さくそう呟いた。
そして、私の肩に肩を当てた。