アンダンテ



「ただいま」
『おかえり、千尋!!』
家のドアを開けると、まっすぐに飛び込んでくるのは、可愛らしい弟と頼れる兄。
…いや、間違えた、そりゃ理想だ。
現実はこう。
「おかえりー三月!」
可愛らしい…(?)兄と
「…あ、さんちゃんおけーりー」
(あたしだけに)凶暴な弟。
『千歳、千秋ただいま』
「な、さんちゃん。新しいアコギ買ったんだけど、あとでひいてみてくんない?」
『いいよ』
「何いってんだよ、三月!今日は俺とDVD見る約束しただろう?!!」
『…あーそうだっけ』
…何やってんのお兄ちゃん。フラレた女みたいな顔しないでよ。なんか哀れだよ。三月が若干ひいてるよ…。
てかさ、あたしの存在は無視かよ!みたいなね。お前らどんだけ三月ラブなんだ。
ま、こんなのしょっちゅうだけどさ。

認めたくないけど、やっぱり三月は完璧だから。

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