シークレット
その日の帰りは
来た時のテンションとは違い、
二人とも何も話さなかった。
家に近付くと私は足を止め、
方向を変えた。
「‥雫??」
ぽたっぽたっ―‥
拳を強く握り、
涙を流さないように耐えていたけど
呆気なく涙は瞳から溢れ出した。
灰色のコンクリートが濡れていく。
「ごめん…私ちょっと‥
買い忘れ思い出した....」
「えっ…じゃあ俺も行くよ」
「いいよ。すぐ帰るから…
梓は先帰ってて」
私は手を力なく振ると
ゆっくりゆっくり歩き出した。