シークレット
さくらんぼ
そして
そのドアから医者たちが出てくる。
『何時間にも及びましたが
腫瘍が取りきれず、持って後3日です』
重い口調で
一つ一つ丁寧に医師は梓に伝えた。
きっと医師は
何万人者人たちの最後を見届けて
人の死には慣れているのだろう。
でも、
普通の私たちには
死はとても重すぎる。
梓は一度立ち上がり、
静かに頷いて
またトスンと腰を下ろした。
梓はこうなることをわかっていたように
涙は流さなかった。