粛清者-新撰組暗殺録-
武田は顔を青くする。
「武田観柳斎。逃亡は死罪…新撰組の局中法度を忘れたか?」
「ば…馬鹿を言え!新撰組の言い分は愚か者のやる事だ!」
開き直ってわめき散らし、橋を引き返そうとする武田。
しかし。
武田はそこで初めて、既に斎藤一によって退路も阻まれている事に気づいた。
「新撰組の言い分は愚か者のやる事か…俺に言わせれば」
斎藤は刀の切っ先を武田に向けた。
「俺から逃げようという行為の方が、よっぽど阿呆だと思うがな」
「く…くそっ!」
斎藤よりも篠原からの方が逃げおおせる確率は高い。
そう考えた武田は咄嗟に斎藤に背を向け、全速力で篠原の脇を駆け抜ける!
しかし!
「ぎゃ!」
すれ違い様、篠原の抜刀した刃が武田の右の脇腹を薙いだ!
「う…うぅ…ぐぅ…う…」
傷口から血を噴き出しながら、それでも逃げようとする武田。
「…惨めだな」
ヨタヨタとよろめく彼の背後で、斎藤は左片手一本刺突の構えを取った。
「武田観柳斎。逃亡は死罪…新撰組の局中法度を忘れたか?」
「ば…馬鹿を言え!新撰組の言い分は愚か者のやる事だ!」
開き直ってわめき散らし、橋を引き返そうとする武田。
しかし。
武田はそこで初めて、既に斎藤一によって退路も阻まれている事に気づいた。
「新撰組の言い分は愚か者のやる事か…俺に言わせれば」
斎藤は刀の切っ先を武田に向けた。
「俺から逃げようという行為の方が、よっぽど阿呆だと思うがな」
「く…くそっ!」
斎藤よりも篠原からの方が逃げおおせる確率は高い。
そう考えた武田は咄嗟に斎藤に背を向け、全速力で篠原の脇を駆け抜ける!
しかし!
「ぎゃ!」
すれ違い様、篠原の抜刀した刃が武田の右の脇腹を薙いだ!
「う…うぅ…ぐぅ…う…」
傷口から血を噴き出しながら、それでも逃げようとする武田。
「…惨めだな」
ヨタヨタとよろめく彼の背後で、斎藤は左片手一本刺突の構えを取った。