粛清者-新撰組暗殺録-
その掌には…。

「沖田様っ!」

秩が青ざめる。

総司は血を吐いていた。

「…まいったな…近頃多いんですよ…」

彼は力なく笑う。

「新撰組がバラバラになるよりも早く…僕が逝く羽目になるのかな…」

「何を言ってるの!そんな弱気な事を言っては駄目!」

秩が総司の体を支え、ゆっくりと床に寝かせた。

「沖田様は絶対によくなります!こんな事で、沖田様も新撰組も終わったりはしません!」

「…彼女の言う通りだ」

永倉はスッと立ち上がった。

「俺はもう一度局長や副長に、その真意を確かめてみる。総司、お前は一刻も早く病を治せ。そして隊に復帰しろ」

彼は肩越しに総司のやつれた顔を見る。

「俺と、お前と、斎藤と…またあの池田屋事件の時のような…武者震いするような修羅場を共に戦おう」

「…はい」

総司の表情には、まだ微かな笑みが残っていた。


< 118 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop