粛清者－新撰組暗殺録－

その夜。

斎藤は時尾と共に京の街の一角にある飲み屋で酒を酌み交わしていた。

いつもならば斎藤に誘われるだけで笑顔を絶やす事のない時尾。

しかし、今夜の彼女の表情は暗い。

「斎藤様…お噂は伺いました｣

時尾は少し悲しげな表情で斎藤に詰め寄る。

「新撰組を脱退されるおつもりだというのは本当ですか？斎藤様自身、『新撰組は俺の人生であり誇りだ』とおっしゃられていたではないですか！」

「……」

斎藤は時尾の言葉に何も答えないまま、猪口を口に運ぶ。

「斎藤様！｣

時尾は彼の腕を掴み、涙を浮かべて訴える。

「お願いでございます！時尾の目を見て答えてください！｣