粛清者-新撰組暗殺録-
…それから一刻ほどして…。

「おお!あそこだ!」

伊東斬殺という新撰組隊士の囮の情報におびき寄せられ、残る御陵衛士の隊士達、藤堂平助、毛内有之助、服部武雄、篠原泰之進、富山弥兵衛、鈴木三樹三郎、加納道之助の七人が油小路にやって来た。

彼らは油小路の路上に打ち捨てられた伊東の亡骸に駆け寄る。

「何という事を…」

「伊東殿…」

それぞれに手を合わせ、カッと見開かれたままの伊東の眼を閉じさせる隊士達。

特に伊東の実弟、鈴木三樹三郎の悲しみは言い知れぬものであっただろう。

しかし次の瞬間。

「!」

突然彼らの前に現れた、段だら模様の羽織を纏った剣客。

それは紛れもなく、新撰組二番隊組長、永倉新八であった。

…鈴木の眼に、復讐の炎が燃え上がる。

「おのれ永倉…うぬが兄者を…!」

スラリと刀を抜く鈴木。

だが、新撰組も当然永倉だけではない。

物陰に隠れていた新撰組隊士達が次々と姿を現し、油小路は凄惨な斬り合いの場と化した。

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