粛清者-新撰組暗殺録-
当然数の上では新撰組の方が上。

次々と斬殺される御陵衛士の面々。

そんな中命からがら逃げ延びたのは、篠原泰之進、加納道之助、富山弥兵衛、鈴木三樹三郎の四人。

が、鈴木だけは最後まで逃げる事を拒んでいた。

彼は最後まで兄の伊東甲子太郎を斬ったのは永倉であると信じ、兄の仇を討とうとしていた。

「永倉!そして新撰組!貴様ら往生できると思うなよ!世の中が変わろうと、時代が変わろうと必ず!貴様らだけは俺の手で斬り刻む!」

そんな呪詛を残して、鈴木達御陵衛士の残党は新撰組の追撃を逃げ延びたという…。

「格好つけずに真実を語った方がよかっんじゃないのか?伊東にとどめを刺したのは自分ではないと」

永倉の傍らで納刀しながら斎藤が言う。

「鈴木はああ見えても新撰組の九番隊組長だった男だ。油断すればお前とて命は危ないぞ」

「構わん」

永倉はさして気にする様子もなく刀の血糊を拭った。

「今更言った所で奴の気がおさまるとは思えん」

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