粛清者-新撰組暗殺録-
「さあ早く屯所に戻って食事にしましょう」
そう言って総司が石井屋の前を通りかかったその時。
「!」
彼は店の裏口から通りへと出てきた、十九か二十歳くらいの娘と鉢合わせした。
長く伸びた黒髪を髷も結わずに後ろで纏めて括り、身につけているのは青い袴と同じ色の羽織。
赤い帯を前に垂らしている。
およそ年頃の娘の格好ではない。
艶やかな着物など着る事なく、まるで剣客のようだ。
この娘が噂に上がった秩だというのは、総司にもすぐわかった。
…秩は冷ややかな眼で総司の顔を一瞥した後、彼が身に纏う浅葱色に段だら模様の羽織を見る。
「…貴方、新撰組ね?」
「はい、新撰組一番隊組長・沖田総司といいます」
笑顔で答える総司。
「…!」
秩は奥歯を噛み締め、彼をキッと睨んだ。
「貴方が沖田…大嫌い…っ…きっとこの手で斬ってやるわ…っ」
そう言って総司が石井屋の前を通りかかったその時。
「!」
彼は店の裏口から通りへと出てきた、十九か二十歳くらいの娘と鉢合わせした。
長く伸びた黒髪を髷も結わずに後ろで纏めて括り、身につけているのは青い袴と同じ色の羽織。
赤い帯を前に垂らしている。
およそ年頃の娘の格好ではない。
艶やかな着物など着る事なく、まるで剣客のようだ。
この娘が噂に上がった秩だというのは、総司にもすぐわかった。
…秩は冷ややかな眼で総司の顔を一瞥した後、彼が身に纏う浅葱色に段だら模様の羽織を見る。
「…貴方、新撰組ね?」
「はい、新撰組一番隊組長・沖田総司といいます」
笑顔で答える総司。
「…!」
秩は奥歯を噛み締め、彼をキッと睨んだ。
「貴方が沖田…大嫌い…っ…きっとこの手で斬ってやるわ…っ」