粛清者-新撰組暗殺録-
「自惚れるなよ娘!」

「ちとばかり沖田さんが寛大に接して下さったからといい気になりおって!」

口々に罵声を浴びせる隊士達。

しかし。

「私の知人は!」

秩の張り裂けんばかりの悲痛な叫び声に、百戦錬磨の隊士達が言葉を失った。

「私の知人は…新撰組の幹部によって殺された…つまらぬ理由で悪戯に命を奪われたのよ!」

秩の言葉でその場は静寂に包まれる。

「…幹部って…誰だよ」

隊士の中の誰かが言った。

確かに、新撰組には局長が二人、副長、総長、組長が十人に伍長と、幹部は大勢いる。

秩の知人が殺されたとして、一体誰がやったのかはわからない。

「沖田さんが殺したとは限らないだろうが!」

「言い掛かりも大概にしろ!」

その言葉に。

「黙れ!」

秩は叫んだ。



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