粛清者-新撰組暗殺録-
「いい太刀筋ですね」

総司が微笑む。

秩は険しい表情で総司を睨む。

「勝負の最中に笑うな!」

「僕は貴女を殺す気にはなれません」

総司の言葉に、秩は気分をいらつかせる。

「ならば私がお前を殺す!」

遠い間合いから一足飛びに間合いを詰め、一気に総司に斬りかかる秩。

しかし総司はその刃を刀で受け止め、鍔迫り合いに持ち込んだ。

「秩さんのは、一体何という流派なんですか?」

「うるさい!話しかけるな!」

「僕のは天然理心流なんです」

「私のは…我流だ!」

総司を力で押し退け、秩は再び斬りかかった。

間合いを詰めながら、叩きつけるような斬撃を総司に放つ秩。

だが総司は難なく秩の剣を捌いていく。

半年前の精彩ない動きとは明らかに違っていた。

『人を斬る覚悟』

それを身につけた総司にとって、この程度の剣を捌くのは造作もなかった。

この覚悟が、後々新撰組の強さを支える原動力となるのだ。

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