粛清者-新撰組暗殺録-
秩は目を疑った。

居合い抜きによって相殺した以外にも、もう二発の刺突が秩に襲い掛かってきていたのだ。

(三段突き!)

気づいた時にはもう遅い。

咄嗟に後ろに飛んだものの、刺突は秩を僅かにかすめ、そのかすめただけの威力で彼女は派手に吹き飛ばされた!

…言うまでもなく秩の敗北。

決着がつき、河原に静寂が戻る。

「う…うぅっ…」

強かに背中を打ちつけた。

秩はゆっくりと目を開ける。

「私…生きているのか…」

小さく呟く。

倒れた秩に総司が近づき、手を差し伸べる。

「平気ですか?」

「……」

秩は素直に総司の手を取り、ゆっくりと立ち上がった。

「随分練習したんだけどなぁ、三段突き…かすめる程度じゃまだまだですね」

総司の言葉に秩は歯噛みする。

「そんなに強いなら…なんであんな事するのよ…」

「え?」

秩は悔しげに涙をこぼした。

「強ければ…大砲で店を焼き払うなんて横暴すらも許されるの…?」



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