粛清者-新撰組暗殺録-
そして遂に、芹沢暗殺決行の日…文久三年九月十八日がやって来た。

その夜は折からの雨。

芹沢はその夜、自らと思想を共にする一派の平間重助、平山五郎と一緒に自宅に女を招き入れ、酒池肉林の騒ぎの真っ最中であった。

芹沢は愛妾お梅を抱き、平間は輪違屋の糸里と床を共にし、平山は島原桔梗屋の小栄とか、吉栄とかいう女と一つ床で絡み合っていたという。

酒も入り、芹沢が泥酔して前後不覚になった頃…。

「ちょっと厠…」

糸里が床から抜け出して、ふらふらと厠に立った。

「おぅ、早く戻って続きをやろうぜ…くっくっくっ」

いい加減酔って気分のいい平間が、下卑た笑い声で糸里を見送る。

「しかし…よく降る雨だな…」

平山が雨戸の前に立ち、戸を開けて外の様子を見ようとする。

と、その時。

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