粛清者-新撰組暗殺録-
第一幕
『維新が三年遅れた』

後の歴史学者達にそう云わしめるほどの強さを誇った新撰組が誕生したのは、文久三年三月の事である。

当時、二百三十四人という膨大な数に及んだ浪士隊の中から、後の局長・近藤勇と芹沢鴨らによって選出された者が二十四名。

浪士隊の中から新たに選ばれた者達、という意味を込めて付けられたのが、新撰組の名の由来である。

新撰組創成期を支えたともいえる、この二十四人の中に斎藤一はいた。

彼は自ら浪士隊に志願した一人であり、己の剣腕にも絶対の自信を持っていた。

これは、斎藤が新撰組壬生屯所にやって来た初日の事である…。

「斎藤一君…だったね」

新撰組局長・近藤勇と副長・土方歳三の直々の面接にも、斎藤は物怖じする事なく受け答えした。

場所は屯所の奥の間、局長室である。



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