粛清者-新撰組暗殺録-
近藤は玄関から堂々と入っていった。

「主人はおるか。御用改めであるぞ」

声をかけ、八方に目を配って上がり込む。

近藤は覚悟を決めていた。

この旅籠に京都大火計画の首謀者達が集まっているのは、先程の鉄砲や槍を見ればわかる。

ここで命知らずの新撰組を強調する為には、ひと暴れするしかない。

ここに、新撰組の名が世の中に知れ渡るきっかけとなった大事件が勃発する。

…総司が旅籠に足を踏み入れる前に、立てかけてあった看板をチラリと見た。

『旅籠・池田屋』





世に言う『池田屋事件』の始まりである。




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