粛清者-新撰組暗殺録-
「ぐふっ!」

総司はキレの悪い三段突きを放っただけでなく、酒井の袈裟斬りを左肩に食らって喀血した!

「総司!」

勝負を見守っていた永倉が一瞬冷静さを失う。

…総司は酒井との斬り合いに敗れたのではない。

こんな肝心な時に限って、またも労咳が悪化し始めたのだ。

「ふ…ふはは…ふははははははは!」

哀れな総司の姿を見て、酒井は高笑いする。

「無様だな!京洛で人斬り鬼とまで言われる沖田総司が、姑息な一隊士相手に手傷を負わされるとはな!一番隊組長が聞いて呆れる!」

跪いた総司を嘲笑う酒井。

しかし。

「ぐはっ!」

そんな酒井の腰に、永倉の刺突が直撃した!

更に永倉は、酒井の腰に突き刺さったままの刃を横薙ぎに変換して、彼の腰の傷を引き裂く!

「ぎいやあああああああっ!」


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