粛清者-新撰組暗殺録-
文久三年四月八日夜、四条大橋。

その時間、この橋を渡っていたのは殿内義雄。

元新撰組隊士。

そこへ、新撰組の追っ手が立ちはだかった。

追っ手の中には局長・近藤勇の姿もあった。

「殿内、新撰組局中法度を忘れて訳ではあるまいな…」

そう言って近藤は刀を抜いた。

銘刀、長曾禰虎徹(ながそねこてつ)。

後々まで近藤と死地を潜り抜ける事となる愛刀である。

「局中法度を無視して、逃げ仰せられると思うなよ…」

「何を小癪な!」

殿内が痺れを切らして抜刀する!

しかしその時!

「がっ!」

背後から、何者かの高速の斬撃!

殿内は背中に傷を受けて大きくよろめいた。

そして闇からの刺客の顔を見る。

そこに立っていたのは。

「く…お…沖田…!」

紛れもなく新撰組一番隊組長・沖田総司の姿であった。

彼の刃を以って、新撰組最初の粛清の火蓋は切って落とされたのである。

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