☆花咲く頃に.。.:*・°
受付を済ませて8階の病棟に向かう。
6人部屋は満室で、カーテンを閉めて病衣に着替えながら、荷物の整理をする。
その光景を見ていた母がまた「そんなものまで持って来て、何すんの?」と大きな声で言う。
耳が遠いせいもあるけれど、それに対する父の反応は怒鳴る声。
必要かどうか、決めるのは父だ。なるべくなら家にいた時と近い環境にしたかったのかもしれない。
二人のやりとりが、他の患者さんの迷惑になりそうな程だったので、
母にはおばちゃんと一緒に、病室の外で待って貰う事にした。
おばちゃん、ごめんなさい。
それでも聞こえて来る母の文句の言葉。
【声が大きい】と言う自覚は、当人にはないのかもしれない。
だけれど病室の外ですら、やはり聞こえて来る母の声。
おばちゃん共々、1階に退去願った。
ほどなくして、ナースから入院の説明が始まった。
『あれ…?奥様はよろしいんですか?』と聞かれたけれど父の答えは
「アイツには、どうせ聞こえない。」
『じゃ、ザーッと説明しますんで、娘さんと一緒に聞いて下さいね〜』