☆花咲く頃に.。.:*・°
ナースが説明する間中ずっと、父のお腹はその場にいる人に聞こえる程、ギュルギュルと鳴っていた。
「家にいた頃から、ずっとこれなんですよ〜?」
そのまま告げた。
採血セットを持って、さっきのナースがやって来る。
5本分の採血は、最初の2本は、なかなか血が出てこない。
親指を中に握り締めている父の手が、黄色と青に変わって行く。
[入ってないんじゃないかなぁ?]
自分自身も採血ではナース泣かせなので、有り得ない父の手の色が気になった。
『具合…悪いんじゃないよね?』
「悪くない」
『んじゃ、血管、頑張れ〜』
ゴムで抑えた部分より上を少し揉む様にして、絞り出す作戦も、あまり上手くは行かなかった。
けど、ふとした拍子に手の色が、みるみる赤に染まり、採血は、無事終了。
『じゃ、採血終わりましたんで、お昼、食べて構いませんからね〜』
看護師さんが出ていくと同時に、トイレに行く父。
それにしても…
テレビは液晶…冷蔵庫もテレビも一人づつに付いている。
母が入院した病院と雲泥の差が…。
その時、お昼のアナウンスが聞こえてきた。
♪お知らせしま〜す♪
『昼食の用意が整いました。各自取りに来られる方は面会室付近までお越し下さい。また、取りに来られない方には、後程配膳に伺います。』
朝、昼、夜に、繰り返されると言うアナウンスが、病棟に響いた。
「ご飯、持って来るね」
入院して初めての、ご飯。