この世界で君を愛す
キャンプ当日。


空は高く…黄金の太陽が輝いていた。


肌がジリジリと焼けるような日差しでさえも楽しく感じる中 一人だけどんよりとした思い空気を背負っている人がいた。


「なんで…なんで俺だけ一人で別の車なんですかー!」

正木君が目を潤ませて叫んだ。


「だってしょうがないだろ。お前の車は荷物でいっぱいなんだからさ」


「そんなぁ。ずっと誰とも話さずに黙々と運転しろって言うんですか!せめて上田さんだけでも一緒に乗ってくださいよぉ」


「正木…お前いつからそんなに寂しがりやになったんだよ」


渉が笑うと そばで聞いていた阿部さんが たまらず口を出した。


「あっあのぅ…私でよければ正木さんの車に乗りますけど…」


それを聞いた途端 正木君の顔がパッと輝いた。


「えぇっ!いいんですか!?俺は上田さんなんかより阿部さんのほうが1000倍嬉しいんですけど!」


そして助手席のドアを開けて「どうぞどうぞ!」と阿部さんを押し込んだ…ように見えた。



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