この世界で君を愛す
私はかがむと 野球帽をかぶりリュックサックを背負った拓也君の手を握った。


「拓也君?拓也君はお姉ちゃんとお兄ちゃんと一緒の車でいい?」


「うん!いいよ!お兄ちゃんの車かっこいいもん!」


拓也君はとても可愛い笑顔を見せた。


車を褒められた渉もまんざらじゃないようで「後で運転席に座らせてあげるよ」なんて言ったものだから 拓也君はますます目を輝かせた。




そして…。


渉の車には 私と渉と拓也君。


正木君の車には 阿部さんと今日の太陽よりも輝いた笑顔の正木君…。




二台の車は 真夏の空の下をゆっくりと走り出した。



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