この世界で君を愛す
バックミラーを見た渉が苦笑して言った。


「正木の奴…さっきからずっと笑顔なんだけど。気持ち悪いくらいに」


「本当?」


私も振り返って後ろの車を確認した。



…確かに。


舞い上がり過ぎて事故を起こさないといいんだけど。



すると 拓也君もシートからちょこんと頭を出して後ろを見た。


「ママ笑ってるよ。楽しそう」


そう言った拓也君も楽しそうだ。


「拓也君のママ 楽しそうでよかったね」


「うん!ママが笑ってるとね 僕も嬉しいんだよ。ママはいつもお仕事で疲れているでしょう?だからお休みの日はいっぱい笑って元気になって欲しいんだー!」


「そっか。今日はみんなでいっぱい楽しもうね!」


「うん!」


私達の会話を聞いて 渉も微笑んでいた。



拓也君は本当にいい子。


「子供は宝物」

阿部さんの言った意味が少しだけわかったような気がした。



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