この世界で君を愛す
ひまわり畑を楽しんだ後　私達はそこから車で３０分程の所にあるキャンプ場に移動した。

さすがに正木君はキャンプに慣れているようで　渉にいろいろ指図していた。

いつもと真逆のこの風景もなかなか楽しいものだった。


私と阿部さんは夕方から行うバーベキューの準備に取り掛かった。


「今日は本当にありがとうございます。うちは男手がないから…こういう所に拓也を連れてくることがなかなかできなくて。あんなに生き生きとした拓也を見ると…嬉しいです」

阿部さんは野菜を切りながら言った。


「またいつでも来れますよ。私も拓也君がいると楽しいから。阿部さんがご迷惑じゃなければ　ですけど」


「そんな…迷惑だなんて…」


野菜を切る阿部さんの指は白くて細くて…この細い腕で拓也君を育てるのは大変だろうな…と私は思った。


ずっと一人で頑張ってきたんだ…。


そんな阿部さんの姿を見てるから拓也君はあんなにいい子なんだろうな。



テントを組み立てている渉と正木君の間を行ったり来たりしながらはしゃぐ拓也君の姿が見えた。



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