この世界で君を愛す
その7 花火のち雨
僕は窓際に立って 下を眺めていた。


いつもより人通りが多く 浴衣を着た女性達が華やかに歩いていた。



今日は夏祭り。



この街では毎年 川辺で夏祭りが行われ 夜には豪華な花火が打ち上げられるのだ。


かなり有名なお祭りなので県外からも見物客がくるため 会場はすごい人の数になり 道路は交通渋滞だ。


この日になると 僕はこの街で暮らすことに 少しだけ優越感を持つのだった。




「渉!どう…?」


後ろから未知の声がして 僕は振り返った。



「おぉー。可愛いよ。すごく似合ってる」

「そうかな…ありがとう!渉も似合ってるよ」



僕達も浴衣を着て夏祭りに行こうとしていた。



黒地に薄いピンクと紫の花の模様の入った浴衣を着て キュッと帯を締めた未知の姿は本当にキレイだった。



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