この世界で君を愛す
弾が落ちる時に あの犬のぬいぐるみにコツンと当たり 落とすことに成功したのだ。


「やったー!」


未知は僕の横で興奮している。


興奮した未知の勢いに負けたのか おじさんは頭を掻きながらぬいぐるみを渡してくれた。


「ちゃんと弾が当たったわけじゃないから本当はダメなんだけど 特別だよ」


「ありがとうございます!」


未知はその変なぬいぐるみを受け取ると 大事そうに抱きしめた。


「ありがとう 渉」


「よかったね。でも…僕がすごく苦労したこと忘れないでよ?」


「もちろん」



もうすっかり空は暗くなり 出店の明かりが未知の少し上気した顔を照らしていた。



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