この世界で君を愛す
「そろそろ花火が始まるよ」


僕は未知の手をとると 人波に混ざって川沿いを歩いた。


花火が良く見える場所はもう人でいっぱいだったが 土手の上にコンクリートの出っ張りがあるのを見つけると 僕達はそこに座った。



花火が始まる前のワクワクした期待感とともに 僕達はそこに座っていた。



「あと少しだよ」


僕が腕時計を見て確認すると 未知は僕の腕にくっついてきた。


「ドキドキしてきちゃった!」



こんな暗闇の中で…未知の瞳はキラキラと輝いていた。



僕は未知の瞳に吸い込まれそうになった。


「未知…」


周りの人達に見つからないように こっそりキスをしようとすると…未知の瞳に赤い光が映った。



次の瞬間…回りから歓声が上がった。



弾かれたように見上げた空には 消える直前の花火の光が まるで星の輝きのように瞬いていた。



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