この世界で君を愛す
「旦那さんって…もう亡くなってるんだから そんなことありえないだろう?」


「ありえないと決めつけてはダメだ…っていうのは誰の言葉でしたっけ?」


「うぐ…」


僕が言葉に詰まったのを見て 正木は少し元気を取り戻したらしい。


「正確には 旦那さんが亡くなる前に書いた手紙がきたんですよ。毎年 拓也君の誕生日に届くそうです」


「あぁ…そういうことか」


「そういうことです」



拓也君の誕生日にプレゼントをあげる約束をしていた正木は 真奈美さんの家を訪ねた。


郵便受けの前に立っている真奈美さんを見つけ 声をかけると…振り返った真奈美さんは泣いていたのだという。


「これが最後の手紙になってしまった」


そう言って泣いていたそうだ。



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