この世界で君を愛す
「でも本当にわからないだろう?明日僕が消えたっておかしくないんだから」


正木は涙を拭くとこう言った。


「明日消えることはありません」


「なんでわかるんだよ」


「だって…。上田さんが戻って来たのは あの桜のトンネルですから。消える時も同じ場所で同じ時間と決まってます」


「どうして?」


「そうじゃなきゃ…ハッピーエンドになりませんから」


正木はハンドルを回しながら 自信に満ちた顔で言った。


「そんな単純な…」


でも僕は…この正木の言葉を何故か信じられる気がした。


正木は単純な奴だ。


単純だからこそ…物事の真理をつく時がある。


「それじゃあ もうしばらく世話になるな」


「特別ですよ」



そう言うと 正木は嬉しそうに笑った。




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