この世界で君を愛す
僕の家のそばの公園を通りかかった時 正木が急にスピードを緩めた。



「あ…!あれ…未知さんじゃないですか?」



僕が身を乗り出して見ると 確かに未知の後ろ姿があった。


未知はキョロキョロと辺りを見回している。


「何してるんだろう…?」


未知は何かを抱えているようで ウロウロ歩き回っている。


「かなり挙動不審っすねぇ」


正木も未知の行動を怪しいと思ったようだ。



僕は車から降ろしてもらうと 未知の後ろから声をかけた。


「おーい。未知ー」



ビクッ。



未知は一瞬体を縮めると ゆっくり振り返った。



ん…?



「未知…それ…どうしたの?」




未知はその両腕に 仔犬をしっかりと抱えていた。




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