この世界で君を愛す
白くてモコモコした毛には 草や枯れ葉がくっついていた。


そして黒い湿った鼻をピスピス鳴らしていた。



か~わ~い~!!



家に連れて帰ってあげたいけど…渉に何て言おう。


ダメって言われるかな…。



悩みながら行ったり来たりする私に 突然渉の声が聞こえた。


「おーい。未知ー」



ドキッ。



別に悪い事をしているわけじゃないのに 私の心臓は飛び上がった。


振り向くと 不思議そうな顔した渉が立っていた。


渉は仔犬に気付くと指を指して言った。


「それ…どうしたの…?」


私は仔犬をキュッと抱きしめた。



「あの…。連れて帰ってもいい?」


「ええっ?」


渉は目を丸くして仔犬を見た。


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