この世界で君を愛す
「お願い。渉」


渉は腕を組むと ちょっと困った顔をした。


「だって…うちはアパートだよ?」


「アパートだけど ペットはダメって書いてなかったよ?」


「そうだけどさ。回りの人達に迷惑なんじゃ…」


「隣の人だって猫を飼ってるよ」


「でも犬は吠えるから…」


私は必死に頼んだ。


「ちゃんとしつけもするから。お願い!」


それでも悩む渉に 正木君が言った。


「いざという時は番犬になりますよ」


正木君が出した助け舟に乗って 私はさらに頼んだ。


「そうだよ!今の世の中は物騒だから!番犬の一匹や二匹いないと!」


渉はやれやれというような溜め息をつくと 私の腕から仔犬を抱き上げた。


「わかったよ。でもさすがに二匹は無理だから こいつだけで勘弁してよ?」


「ありがとう!」


私が渉に抱き着くと 仔犬も渉の顔をペロリと舐めた。




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