この世界で君を愛す
ベッドに入って眠る前に 私は渉に言った。


「ねぇ渉。今日も…して…?」


渉は枕から頭を持ち上げると私を見た。


「未知からそんな事いうなんて 珍しいね。いいの?」


無言で頷くと 渉は私の上に覆いかぶさって言った。


「ちょっと…嬉しいかも」




渉の肩越しに オレンジ色の小さな明かりがチラチラと見え隠れしていた。


私の全てが渉のものになり…渉の全てが私のものになる。


言葉はいらなかった。


「愛してる」の一言でさえ…お互いが溶け合う瞬間にはジャマだった。



だから…。



「愛してる」



私は心の中で 何回も呟いた。






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