この世界で君を愛す
僕達は車をとりに一旦アパートへ戻った。

今日はチョコもいるし 僕の車で行くことにした。

僕の実家は車で30分程の所にある。



やっぱりやめようか…。



運転しながら何度か考えたが 30分はあっという間で…僕達は今 実家が少し見える位置に立っていた。


「どうします…?行ってみますか…?」


「う…ん…。」


僕が迷っていると 二階の窓が開いてベランダに人が出てきたのが見えた。



「母さん…。」



母親が洗濯物を取り込む姿を見ると なぜか遠い昔に戻ったような懐かしく切ない気持ちになった。



母さん…ごめんね。



鼻の奥がツーンとして胸が痛くなった。


僕は正木に言った。


「やっぱり…やっぱり会うのはやめておくよ。」


「…いいんですか?」


「うん。いいんだ。」




その時 後ろから 小さな女の子の声がした。



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