この世界で君を愛す
「あー!わんわん!まま わんわん いたね。」


「あら 本当。かわいいねぇー。」



この声…まさか…。



僕が恐る恐る振り返ると…そこに立っていたのは姉だった。


姉は僕を見ると 笑顔だった顔を徐々に変えた。



「わ…たる…?でも…まさか…そんな!」



僕は俯いたまま声を出した。


「姉さん…。」


「うそ…。今そこで渉の車と同じのを見たから…。でも…そんなわけ…。」



俯いている僕の代わりに 正木が今までの事をざっと説明してくれた。


姉は黙って聞いていたが やがて口元を震わせて涙を流した。


「信じられない…。でも…あなたが渉だということはわかる。わかるよ…。」


「ままー。いいこ いいこね。」


「ありがとう愛ちゃん。ママは大丈夫だよ。」


姉は子供を抱きしめると 僕に言った。



「渉。お父さんとお母さんにも会ってあげて。」



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