この世界で君を愛す
僕の部屋。


狭い部屋に布団を二つならべて 僕と正木は横になっていた。


電気は消していたが なかなか眠れずに 僕達はオレンジ色の小さな電球をじっと見つめていた。


「…上田さんのお姉さんって最高ですね。」


正木はさっきの話を思い出したのかクスクス笑った。


「まあね。姉のおかげで僕の人生は波瀾万丈だよ。」


「はは。いいじゃないですか 楽しくて。」


「お前なぁ…他人事だからそう言えるんだよ。」


「違いないですけど…僕は最高に楽しかったですよ。上田さんの昔の話が聞けて。」


「僕の話っていうより…姉のいたずら武勇伝って言ったほうが正しいけどね。」


「いいお姉さんじゃないですか。上田さんの御両親に会わせてくれたんだし。」


「うん。」



確かに…姉と会わなかったら…僕は両親に会わずに帰っていただろう。


姉のおかげで 僕は両親に気持ちを伝えることができたのだ。



やっぱり姉さんの弟で良かった…。



僕は思った。



< 199 / 310 >

この作品をシェア

pagetop