この世界で君を愛す
「ただいま!」


アパートに戻るとすぐ 未知が出迎えてくれた。


「はい これ。母さんから。未知と食べてって。」


僕から受け取ったタッパーの中を覗くと「わっ おいしそう!」と未知は喜んだ。


未知は実家での出来事を聞いてはこなかった。


ただ僕が「行ってよかったよ」と言ったのを聞いて 未知は優しく微笑んで「うん」と言った。




「ところで未知?仕事のほうはどう?はかどった?」


「全然…。もう…ダメかも…。」


「そ…んな。ダメなんて言わないで頑張ってよ。僕もできる事は手伝うからさ!」


「うそ。」


「へっ!?」


「もう終わったよ!」


「えぇっ!なんだー良かった。ひどいよ 未知。本気で心配したのに。」


未知はニヤリと笑った。

「昨日私を一人ぼっちにしたから。その仕返しだよ。」



「…なるほど…ね。」



たしかに…未知と姉さんは気が合うかもしれない。



僕はソファーに座り込みながら考えたのだった。



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