この世界で君を愛す
「それは…ダメだよ…。できない。」


渉は喉の奥から絞り出すような声で言った。




渉がダメだと言うのはわかっていた。


でもどうしても…。


この願いだけは叶えて欲しい。




「お願い…。」


「ダメだよ。」


渉は下を向いたまま顔を強張らせている。


「本当の結婚式みたいな事ができれば それでいいの。だから…お願い!」


「そのお願いだけは聞けないよ。」


「どうして?」


「どうしても。」


「渉は私の事が好きじゃないの?」


渉は顔をあげると悲しそうな目で私を見た。


「好きだから…ダメなんだ。未知…わかって欲しい。」



私の目に少しずつ涙が溜まってきた。



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