この世界で君を愛す
「ねぇ…渉。未知さんの気持ち わかってあげて欲しいの。」

お姉さんは渉の横に座ると静かに言った。


「わかってる…つもりだよ。だけど…結婚式はできない。それが未知のためなんだ。」


「渉の気持ちはわかる。私だって本当は渉の考えのほうが正しいと思ってるの。でもね…人の心は正しいかどうかで動いてるわけじゃないでしょう?どうにもならない気持ちだってあるんだから。」


お姉さんは さっき私が言った言葉を渉に話した。


渉は黙って聞いていたが くちびるを噛んで同じ事を言った。



「やっぱり…ダメだよ。」



ダメ…なんだ…。



私の中のどうにもならない気持ちが サラサラと涙になって流れ落ちてきた。



私は喉をつまらせながら なんとか声を出した。


「お姉さん…もういいです。きっと渉だって辛いのに無理を言った私が悪いんです。渉…ごめんね。もう こんな事言わないから。」


「未知…。」


渉が私に何か言おうとした瞬間 お姉さんが遮った。



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