この世界で君を愛す
お姉さんは一つ息をつくと 渉の目をじっと見つめた。


「たしかにあんたの言う通りよ 渉。結婚式をしなければ未知さんは辛い思いをしないですむかもしれない。でもね…そのかわり…未知さんは別の気持ちを背負っていかなきゃならなくなる。後悔の気持ちをね。」


「……。」


渉が黙ったのを見ると お姉さんは私に言った。


「未知さん。例の物を。」



正木君が息を飲んだ。




例の物…。


やっぱり見せないといけないのかな…。




「未知さん!」



迷っている私に お姉さんの声が飛んできた。



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